最新・日本で話題の特許侵害ニュース

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最新・日本で話題の特許侵害ニュース(2025〜2026)

― 医薬・通信(SEP)・生成AIで「差止」と「巨額賠償」が現実に ―

日本でも近年、特許侵害をめぐる紛争が「一部の大企業の話」ではなくなってきました。
医薬品では200億円超の賠償、通信分野では標準必須特許(SEP)による差止が注目され、さらに生成AIの普及でAI関連サービス同士の侵害主張も表面化しています。

本稿では、直近で話題になった特許侵害ニュースを3つ取り上げ、企業が今すぐ押さえるべき実務ポイントを整理します。


1. 東レ vs 沢井製薬・扶桑薬品:医薬品で約217億円の賠償認定

まず衝撃度が大きかったのが、東レ株式会社の医薬用途特許をめぐる紛争です。
知財高裁は、東レの「レミッチ®」関連用途特許について、後発医薬品を製造販売する沢井製薬扶桑薬品工業の行為が侵害に当たるとして、合計で約217億円規模の損害賠償を命じたとされています。

このニュースが示すポイント

  • 「後発だから安全」とは限らない:特に医薬では、特許期間延長や用途特許などが絡むと、侵害判断が難しくなります。

  • 賠償額が“経営インパクト級”になり得る:侵害の有無だけでなく、損害算定のロジックも含めて、紛争が巨大化します。


2. Google(グーグル) vs Pantech(パンテック):SEPでPixelの「差止」が話題に

次に、通信分野で注目されたのが、韓国の**Pantech(パンテック)が保有する標準必須特許(SEP)**をめぐる争いです。
日本では、Pixel端末(Pixel 7等)を対象にした係争が報じられ、FRAND交渉(公平・合理・非差別条件でのライセンス交渉)における当事者の対応が、差止の可否判断に影響し得る点が話題になりました。

また、直近ではグーグルとパンテックが和解し、係争中の訴訟が整理された旨も報道されています。

このニュースが示すポイント

  • SEPは「交渉の姿勢」が実務上の分岐点になり得る

  • 端末・IoT・通信モジュールなど、標準技術に依存する製品は、権利関係と交渉記録の管理が重要


3. 生成AI×特許情報サービス:パテント・インテグレーション vs Patentfield で侵害主張

生成AIが広がるにつれ、「AIを使ったサービス」同士の知財衝突も現実味を帯びています。
特許情報サービス領域では、パテント・インテグレーション株式会社が、特許情報サービスを提供するPatentfield株式会社に対し、生成AIに関する特許権侵害を主張して提訴した旨を公表しています。

このニュースが示すポイント

  • 生成AIの周辺は、モデルそのものよりも 「業務フロー」「検索・要約・抽出」「UIと処理手順」 などが権利主張の核になりやすい

  • SaaSは利用者の業務利用まで波及する論点が語られることがあり、提供側はもちろん、導入企業側もリスク感度が必要


企業が今すぐできる「特許侵害」実務対策(最低限の型)

最後に、今回のようなニュースが増える局面で、企業が最低限やるべき対策を“型”としてまとめます。

① 新機能リリース前に「侵害リスク棚卸し」を入れる

  • 競合の主要特許をざっと把握(全件は無理でも、地雷領域の特定が目的)

  • 要件定義の段階で「回避設計」「代替案」を準備

② 交渉・ライセンスは「記録が資産」

  • SEPのように交渉姿勢が争点化する領域では、メール・議事録・提案条件の履歴が防御力になります

③ 争いになったら、初動は“技術×法務”の二人三脚

  • 開発側だけ/法務側だけ、で動くと判断がズレやすい

  • 早期に「争点整理(どの構成がどの請求項に当たるか)」へ


まとめ:特許侵害は「差止」「巨額賠償」「AI領域の衝突」で現実度が上がっている

医薬の217億円級の賠償、通信SEPの差止論点、生成AIサービス同士の侵害主張
これらは、「知財は守り」だけでなく、事業のスピードと存続を左右する“経営テーマ”になったことを示しています