具体例と最新動向を徹底解説
スタートアップや中小企業の資金調達戦略として、**特許を担保に銀行借入や融資を受けられるのか?**という関心が高まっています。
「特許そのものが資産として評価されるのか?」という疑問については、実は 限定的ではあるものの利用可能 というのが現状です。
本記事では、
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特許を担保とした資金調達の仕組み
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どのようなケースで実際に使われているか
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金融機関の視点・評価基準
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最新ニュース・事例
をわかりやすく解説します。
特許を担保にする「知的財産担保融資」とは
特許担保融資は、企業が保有する特許権を貸付の担保として金融機関に提供する融資手法です。
具体的には、
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特許を評価
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その価値を担保として金融機関へ提供
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万が一返済不能(デフォルト)になった場合は
→ 借り手ではなく金融機関が特許権を引き継ぎ、売却・ライセンス等で回収
という形で運用されます。
これは不動産担保融資とは異なり、**将来の収益力や事業性を評価する「無形資産担保融資」**といえます。
なぜ特許担保融資はまだ一般的でないのか
日本国内では、特許を担保にした融資は実績が少ないのが現状です。
主な理由としては:
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知財評価の専門知識を持つ担当者が金融機関に不足
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特許の価値が数値化しにくく、担保価値の信頼性が低い
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債務不履行時に特許を現金化する市場が未成熟
などが挙げられます。
特許庁が示す資料でも、知的財産担保融資はまだニッチな手法であり、一般的な融資とは言い難いとされています。
どんなケースで使われるのか?実例紹介
🏦 豊和銀行の特許担保融資支援
日本国内では、特例的な事例として大分県の 豊和銀行が特許権を活用した融資支援を行ったケースがあります。
ある溶接機器メーカーは、マグネシウム合金向けの特許を複数国で取得していました。
この企業は設備資金の調達を必要としていたものの、不動産担保の余力が不足していたため、銀行側が特許を評価し、担保として活用したという事例です。
このように、技術力が高く成長性のある企業・特許が対象になる場合、担保評価を通じて融資を実行することがあります。
海外ではどう扱われているか
特許や知的財産を担保とする資金調達は、海外では比較的進んでいる分野です。
🇺🇸 米国や欧州
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多数の企業が、特許ポートフォリオをローン担保に利用する例が確認されています。
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米国では特許権を担保とした融資契約(security agreement)が存在し、登録して公開されることもあります。
また、セミコンダクター分野の企業を対象とした調査では、米国企業のかなりの割合が特許を担保に融資を受けた経験があるという報告も存在します。
🇨🇳 中国の動き(最新)
中国では2023〜2024年にかけて、知的財産を担保にした融資が大幅に増加しています。これは政府の政策として、中小・技術企業の資金需要に対応するための取り組みです。
報告によれば、特許・商標・その他IPを担保にした融資総額は前年比で大幅に増加し、政府の支援も相まって多くの企業が資金調達に成功しています。
特許担保融資に向いている特許とは
どんな特許でも担保になるわけではありません。担保評価のポイントは以下の通りです:
✔ 事業との関連性が高い
技術が事業売上に直結しているかどうか。
✔ 売却・ライセンス可能性が高い
担保実行時に回収可能な価値が見込めるか。
✔ 評価が検証された特許
市場価値評価やAIスコアなど、客観性がある評価指標があるか。
特許担保融資のメリットと注意点
📈 メリット
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株式希薄化を回避
株式発行による資金調達と違い、経営権が薄まらない。 -
事業価値を資金化できる
特許という資産を使い、成長資金を確保できる可能性。
⚠ 注意点
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特許価値の評価・流動性が低いことがある。
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債務不履行時に特許を現金化するプロセスが複雑である。
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担保評価手法が標準化されていない市場も多い。
まとめ:特許を担保にした資金調達は「可能だが限定的」
結論として、
特許を担保にした資金調達は可能であるが、現状では限定的であり、特定条件・専門評価が必須である。
国内ではまだ実例が少ないものの、
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成長性が高い企業
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銀行が知財評価ノウハウを持つケース
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政策支援がある市場(中国など)
では、特許担保融資が実際に使われています。
今後はAI評価・知財金融の発展が進むにつれて、
特許担保融資の選択肢は増えていく可能性があります。


